大賞作『公園で逢いましょう。』選考員のコメント

大賞発表からまもなく一週間。
多くの店頭で飾り付けされ『公園で逢いましょう。』が展開されています!
しかし大賞はこれだー!って言うけど一体この作品の何がオススメなん?
と、疑問の方も多いでしょう。
ということで、大賞作『公園で逢いましょう。』の
選考員コメントを一挙にご紹介いたしますー!

  • アミーゴ書店洛北店 安西

  繋がることのわずらわしさに押しつぶされそうな人に是非オススメしたい!
  あらためて「絆」という言葉を考えさせられた1冊でした。

  過去のない人なんていない。
  思い通りの人生を歩める人もいない。
  そんなママたちの葛藤や鬱憤をユーモラスに描き、「一人じゃない」ことを再認識させてくれる1冊でした!

  三羽氏の作品の中では半ば異例とも言える「日常」をテーマにした「普通」のタイトル。
  しかしこれが読者にエア公園デビューに誘うリアリティを持った作品でした。
  実際のママさんたちは主観的に、また私のように公園とは程遠い読者は遠巻きから俯瞰で公園を眺めている。
  そんな情景を映し出す連作集です。

  主婦でもないし、子供もいない。
  が、公園デビューしたような気分です。

  公園デビューの予定はないので、しそうな友達にすすめてみたいと思います。

  十人十色。ほんとうに人それぞれ、いろんな人生や考え方があるのだなーって思う作品でした。
  この本を読んで私も言われたい言葉ができました。
  『ドーイタマシテ』

  • ふたば書房野洲店 下岡

  それぞれの話が章仕立てで構成されており、主人公の視点から考えたら、
  正しいと思える行為や考えが、他人の視点から見たら姑息だと思えたり、卑怯だと感じたり。
  日常の中のふとした黒い部分が現れるのもまたおもしろかったりします。
  物事は一辺倒じゃない!と思わされる一冊。
  人の数だけドラマや思いがあります。

  公園デビュー前にこの一冊

  章ごとに語られるママ達の人生の一場面が個性的で、グイッと引き込まれます。
  公園に集うママ友という限定された希薄な関係性も、案外一期一会の大切な縁なのかも。
  経験や生き方が、他人との向き合い方にどれだけ影響するのか考えさせられました。

  これまでの人生が今につながり、それぞれの人生が公園でつながる。
  いろんなつながりを感じさせてもらえる物語です。

  やっぱり三羽さん巧い!
  人物描写が丁寧でそれぞれの目を通してみる世界が全然違う意味を持って現れて驚きと興奮。
  個人的にこういう連作短編大好きです。

  「複数の人間が時間と空間を共有する以上、好むと好まざるとにかかわらず役割というものが生まれる。
  …昼下がりの公園の片隅でも、きっとそうだ。」
  よくある住宅地のなんでもない公園に、特別な理由など無く集まった母親たち。
  そんな至って普通の彼女たちにも今までの人生から導き出された役割を果たしているのだった。
  公園を介して出会う母親たちの思い出にジーンとしてしまう1冊です。



実は選考員の所属している店舗では三羽先生のサイン本も入荷しております!
まだ読まれてない方はこの機会に是非ゲットしてくださいませ。
もう読んだ!という方は今回のノミネート作の中に
三羽さんのデビュー作『太陽がイッパイいっぱい』も
ノミネートされていますのでそちらもぜひ!
他のノミネート作品も素敵な作品が揃っておりますので
全作品読んで楽しんでいただければ幸いです!