第二回京都水無月大賞発表!

minaduki_taisho2009-06-01

第二回京都水無月大賞は


『明るい夜』(黒川創 著/文春文庫)


に決定いたしました!


本日6月1日より、参加各店で大賞作フェアが開催されます。ぜひお立ち寄り下さい!


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【 推薦者のおすすめコメントはこちら! 】


いつかどこかで訪れるはずの輝かしい未来を「待つ」こと。そこには無残にも怖ろしい現実が待ち構えている。夢をみるより現実をみて働きなさいという当たり前のことしかいえない人たちをまえに、「下流社会」や「フリーター」、「漂流難民」という自らを表す矮小化されたことばを逆手に取って多くの「若者」がなんとか自らの生を豊かなものにしようと頑張っている。それが今日の「若者」の姿といえるだろう。
 
 しかし本書に登場する主人公たちは、そうではない。一見モラトリアム人間として淡々と送るかのようにみえる彼らの生活には、はっきりとした生きることへの意思に満ち溢れている。「寝ない」ことをまたは「働かない」ことを、そして「書かない」ことを自ら選び取る主人公たちは、やがてこう宣言することになるだろう。「働く」ために「眠る」ことを「書き」はじめる、と。
良き小説とは目にみえる「普通のこと」しか書いていないんだなと思わせてくれる京都小説です。
ジュンク堂書店京都BAL店 市木誉世夫)


【 選考書店員のおすすめコメントはこちら! 】


●「たぷん」・・・この音にやられました。京都の銭湯にこれほどふさわしい音はありませんねぇ。昔の人たちの日々の営みや風習を、これほどリアルに胸にひびく言葉で読んだ記憶がありません。
アバンティブックセンター京都店 安西京子)


●「よるべない」という言葉がしっくりくる小説。実は若者も老人も多い街・京都。この街の暮らし、文化。独特の空気が巧みに綴られています。
恵文社バンビオ店 大瀧彩子)


●すごく共感できるわけではない登場人物たちなんですが、全員を応援したくなるのはなぜでしょう?
踏み込みすぎず、離れすぎずのこの距離感ってわたしたちみんなに必要なことなのかもしれないと思わされました。
恵文社西大路店 加藤みき)


●登場人物に共通したつかみどころのなさが私にはときどきたまらなくなりました。
具体的に京都の地名が出てきますが町の印象を言葉にすると確かにこんな一面も、あるかもしれません。
(ふたば書房京都タワー店 佐藤実希)


●細かい描写が上手いですね。個人的には銭湯の場面が非常に印象的でした。
大垣書店イオンモール京都ハナ店 杉山博一)


● まだ20代で、京都に住んでいて、自分が何者か分からない不安を感じながらも、何かを求めて毎日を生きている、そんなあなたに是非この物語を読んでほしいと思います。
アバンティブックセンター南草津店 多田洋)


●京都という街はほんとに若人の青春が似合う場所なんだなぁとつくづく思いました。
ただただ、あるがまま包み込んでくれるような無言のやさしさを持つ京都の魅力再発見な一冊でした!
三省堂書店京都駅店 中澤めぐみ)


●この先の自分に悩みながら、前になかなか進めず日々が過ぎていく・・・。今の若者のリアルな姿があるような気がしました。  
紀伊國屋書店MOVIX京都店 西尾祥子)


●京都に暮らす若者たちの物語。ふわふわ浮かぶ若い彼らの生は、出会う人々、そして彼らの記憶が織り成す時間の縦軸と横軸の中で、ゆっくりと進んでいく。同じ若者として「若さとは不安である」と考えてしまうような始まりから、しかし彼らは「いま、ここをしっかりと生きている」と感じさせてくれる終末。じんわりと心に響いてくる作品です。著者の黒川さんは京都を基盤に活躍する気鋭の作家さん。京都の書店員として、いま最も推していかなければならない重要人物だと思っています。
(ふたば書房御池ゼスト店 畠山崇)


●生きづらい今の時代を自然に肯定的に描写したいい作品だと思います。するすると読みきれました。
(パルナ書房 久野敦史)


●特別でない私たち。ここに生まれ落ちてここで人とつながった。誰もが持っている、選ばれなかった私たちの桎梏が淡々と鴨川の流れにのせて紡がれます。秀作だと思います。          
(京大生協ブックセンタールネ 山下貴史


●「爽やかな感動」と裏表紙にはありますが、私にはそれとはまたちがう、ささやかな、おぼろな心のなかの何かをそっとすくい出してくれるような、なかなか得がたい読後感の小説でした。
ジュンク堂書店京都店 山本優子


●京都で青春時代を過ごした人なら、きっと鴨川べりにまつわる思い出が一つや二つある筈。私たちと同じようにひっそり、ささやかに生きている人々の姿に感動。何でもない日々の素晴らしさに気が付かされる一冊。
大垣書店営業本部 吉川敦子)