京都水無月大賞2010 Aブロック⑤『FLY』

FLY (文春文庫)

推薦者：恵文社西大路店　加藤

公園でちょっと世間話をしただけ。
ただそれだけで、ここまで人生が狂ってしまったとしたら・・・。
そう考えると恐ろしくなってきます。
高校生のさわやかな恋を応援していたはずが、
どんどん深みにはまっていく感じがたまりません。
登場人物が全員あがいてもがいて、息苦しいほどです。
殺人犯ですら、いいかげんには生きていない感じがします。
あとで知ったのですが、作者の方は実際に放浪、ホームレス体験があるとか。
ひとつひとつにリアリティがあるのはそのせいかもしれません。
なんというか上から目線でない感じが、読んでるほうももがいている気分にさせるのです。

読後感は・・・、って読む前に知っちゃうのはもったいない！
とにかく先が気になって止まりません。
できるだけ予備知識なしで読んでいただきたいものです。