水無月大賞2010 Bブロック⑥ 『素粒子』

素粒子 (ちくま文庫)

素粒子 (ちくま文庫)

推薦者:京大生協 ブックセンタールネ 山下 


ただ偶然に、醜く老いさらばえる肉体を纏いこの世界に生まれ落ちたわたしたち。
人生はどこまでも滑稽さと哀切に満ちている。

人は、愛を測り愛という可能性にしがみついて
人生を演じ続ける存在でしかいられないのだろうか。

ウエルベックが容赦なく描き出す喜劇の断片は
その儚さこそが素粒子の煌めきなのか、絶望的に美しい。

この物語が到達した世界は祝福をもって迎えられるだろうか。