倉知淳『日曜の夜は出たくない』

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

京都水無月大賞発表までいよいよあと1ヶ月きっかりとなりました。
はやいもんです。
発表に向けてちょこちょこあれこれしてますが、果たして間に合うのか…(不安)
まずはやらねばならんこと一番目。
私の推薦文庫のご紹介でっす!

倉知淳さんの『日曜の夜は出たくない』。
これごっつおもしろいです。
熱烈おすすめ。

「それにしてもお前さん。
よくもこんなに面白い本を本棚に眠らせて置くなんて罪なことをしたもんだね。」
猫丸先輩のこんな声がどこからともなく聞こえてきます。
「ごめんなさい〜!!」とほんま平謝り!
我ながらまことにもって罪深し。反省しきり。懺悔します。
神出鬼没、自由奔放、傍若無人、舌鋒鋭利、気ままな黒猫さながらの名探偵・猫丸先輩が独特の語りでもって紐解く謎の数々の本格っぷりと、最後の最後でドカンと仕掛けられたこれまた驚天動地の隠し玉!
いやはや不肖中澤、すっかり感服いたしました 。


なーんて推薦しておいて実は裏話が。
猫丸先輩風の最初の台詞からなーんとなく想像できちゃうかもしれませんが、私、推薦作品報告の締め切り直前土壇場に急遽この『日曜の夜は出たくない』に変更したのですよ。
実は最初に推薦してたのは別の文庫でした。
片付けの出来ていない本棚をひっくり返して、コロンと転がり出てきたのが『日曜の夜は出たくない』。
すっかりこの存在を忘れておったのですが、手にとって軽く読み始めたが最後。
おもしろいおもしろい!!
怪談調、本格ミステリさながらの推理披露、落語調などなどさまざまな趣向で語られる短編に吸い込まれ、いつの間にやらふらりと登場して謎を解く正体不明神出鬼没の男・猫丸先輩にアンコール!
「猫丸先輩の出番はまだかー!」
と、やきもきしてたらこんなところから先輩登場、ますますあがるテンション。
ひっくりかえった本棚そっちのけで最後までついつい読みふけってしまいました。
これがそのまま上記の推薦文に繋がるということでございます。


さらにオチがもうひとつ。
実は本書は猫丸先輩シリーズの1巻目なのです。
東京創元社さんから『過ぎ行く風はみどり色』『幻獣遁走曲』と続き、講談社さんから『猫丸先輩の推測』などなど猫丸先輩の活躍はまだまだあります。
『日曜の夜は出たくない』を読んで、「んじゃ続きを…」と本棚を再び探るも見つからず…。
確かにあったはずなのに一体どこへ?
探しても探しても見つからず、結局再度取り寄せしてる始末。
神出鬼没の猫丸先輩のごとく、猫丸先輩シリーズは文庫自体も神出鬼没のようです。

本書のように、知的興奮いっぱいのミステリと、もっと読みたいと思わせる魅力的な登場人物造形が魅力の倉知淳さんの作品はまだまだあります。
どれもおもしろいです!
どれを読んでもはずさないというのは倉知さんにも当てはまる評価です。
まずは『猫丸先輩シリーズ』からその魅力に気付いて行ってほしいと願います。切に。
ほんまにおもしろいから!

ご参考までに猫丸先輩シリーズ。

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

過ぎ行く風はみどり色 (創元推理文庫)

幻獣遁走曲 (創元推理文庫)

幻獣遁走曲 (創元推理文庫)

猫丸先輩の推測 (講談社文庫)

猫丸先輩の推測 (講談社文庫)

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)

猫丸先輩の空論 (講談社ノベルス)


三省堂書店京都駅店 中澤)