姫野カオルコ『受難』

皆さま、はじめまして、こんにちは。
大垣書店営業本部の吉川でございます。

企画から準備からみなログの更新まで、大瀧さん&中澤さんにお任せしっぱなしで…。

せめて!!

せめて自分でおすすめした本の面倒は見なくちゃ!!と遅ればせながら筆をとった次第であります。
(決してGW休みを頂いたものの、観光地である京都はどこもコミコミで家から出られず、ネットサーフィンをしていて、WEB本の雑誌を回覧中に「あっ、そういえばみなログ…」と思い出した訳ではありませんよ。神に誓って!!)

さて、私のおすすめする本は、姫野カオルコ大先生の初期代表作『受難』。

受難 (文春文庫)

受難 (文春文庫)

正直、迷いました…。
だって、だって、設定が!!
人面瘡が始終出ずっぱりですよ。
しかも喋るし、毒舌だし、セクハラを越えた暴言の数々、某●ートマン軍曹も真っ青ですよ。
もうちょっと当たり障りない題材を選ぼうと思えど、この超個性的名作が私の頭を離れなかったのです。
やっぱり好きなものは好きと言いたい!我慢は体に悪い!
『愛より速く』も夏の100冊入りしたし。いいかなぁなんて。

ちなみに、直木賞候補です!由緒正しいご本なのですよ。


「女の子に(だけ)読んで欲しい、とっておきのおとぎ話」
女は生まれながらにして女なのではなく、なろうとして学び努力して初めて女になる、とよく言われます。
でもその努力の仕方って正解がないし、皆さま手探り状態なのでは!?
そんな全ての悩める女子に捧げる、卑猥な言葉で綴られた、限りなく純粋な乙女の物語。正解は書いていないけど、私は救われた気がしました。
笑いながら読み始めても、最後は必ず泣いてしまう大好きなお話です。


と紹介していましたが、私の涙腺はちょっとおかしいので注意です(笑)しんみり位はしていただけるかも!?と思いますが。
ちなみに解説は、文系独身女性にとっての永遠の女神、米原万里様ですよ。
この解説がまた素晴らしいのです!惜しい人を亡くしたものです…。


内容を補足いたしますと!
先ほどちらっと触れましたが、この本は怪談ではありませんが人面瘡が出てきます。

しかも名前があるのです…。


古賀さんです!!



人面瘡に血液型があるのかは不明ですが、古賀さんは今流行のB型に違いないですっ!
B型の生態については、今流行っている説明書をご覧下さいませ。
一見とっつきにくいんですけど、実は寂しがり屋で意地っ張りで素直になれないだけのシャイ人面瘡なんですよ、と。

で、その古賀さんに罵られる女の子の名前がフランチェス子。


修道院育ちです!!


無菌室で育てられた純粋培養のお嬢様かと思いきや、結構たくましく生きてます。
そんな二人のはちゃめちゃな共同生活!
なんでこの設定で泣けたりしんみりしたりするのかは、読まないと分からないと思うので(読んでも分かるかは保障できませんが)是非ご一読を★特に女子!!


女の子にだけおすすめ本紹介して去るのもアレなので、男子諸君にも1冊。

百瀬、こっちを向いて。

百瀬、こっちを向いて。

祥伝社さんの短編集『ILOVEYOU』で華麗なるデビューを果たした中田永一先生の初単行本です!!
自称「人間レベル2」のさえない主人公が、とある事情から百瀬という可愛くて勝気な女の子の恋人のフリをする事になって、お約束の展開なんですけど彼女の事を好きになっちゃうお話。
自分より明らかにレベルの高い相手を、分不相応に好きになってしまって、辛い思いをした事ってないですか?
私はアリアリなので、もう涙なくしては読めませんでした。
こんな感情知らなければ幸せだったのに、と恋してしまった事を後悔する主人公に、「人間レベル2」仲間のお友達がかける言葉が沁みるんだなぁ。
他にも3篇入っていますが、そちらも傑作ぞろいですよ。

「悪意の不在は作者の世界観に拠るところであるが、苦悩の不在は文学の背骨そのものの不在であろう」と、直木賞の選評にて某先生が書かれていました。
そういった意味で、上記2作品は「骨太の文学だ!!」と自信を持って言い切ってお別れです★

では京都水無月大賞発表をお楽しみに♪



大垣書店営業本部 吉川)