『プラネタリウムのふたご』『夢で会いましょう』『うたかたの日々』

第二回京都水無月大賞、発表まであと


6日!


6月1日(月)の発表を、どうぞお楽しみに。ではでは、ノミネート作、ちょっと駆け足ですが引き続きご紹介していきます。


プラネタリウムのふたご』いしいしんじ講談社文庫

プラネタリウムで拾われたふたご、タットルとテンペル。二人の育つ村は工場のせいで星が見えない。聖なる山を侵食する工場を持つ村の人々は、暗闇で光る星と星の物語を必要としている。成長したテンペルは村を出てサーカスの手品師になり、タットルは昼は郵便配達員、夜はプラネタリウムで星の語り部となる。

手品師と星の語り部、遠いようで近い。
だます才覚とだまされる才覚が、くっきりと浮き彫りになる職業である。
例えば、自分の起こした奇跡に心底驚く、ということができないと成り立たないのである。

大人たちは、サーカスやプラネタリウムのようなものが、つまり、ゆめ・まぼろし・うまい嘘がどれだけ貴重で犯すべからざるものか分かっていると思う。それが分かっていない者は痛い目に遭うことも分かっている。

この小説は、役割が配置された物語、ファンタジーである、それは、うまい嘘の一つだ。だとすれば私は「最高のお客」でありたいと思って読んだ。


【 ふたば書房京都タワー店 大澤 推薦 】


『夢で会いましょう』村上春樹糸井重里講談社文庫

80年代を代表する両者が競作した、奇妙で素敵なショートショート集です。思わずクスリとなったり、「えっ?」となるような変な作品もあったり。非常に上位にバラエティに富んでます。深読みするよりさらっとこの変な世界を楽しんだほうが良いかと思います。
パン屋再襲撃』(文春)パン屋再襲撃 (文春文庫)の前日譚ものっています。

【 大垣書店イオンモール京都ハナ店 杉山推薦 】


『うたかたの日々』ボリス・ヴィアン/ハヤカワepl文庫

「現代の最も悲痛な恋愛小説」と評され、「現代の最も美しい恋愛小説」でもある。
理性では読めません。
真面目な方はアルコールとともにお召し上がりください。

【 京大ブックセンタールネ 山下推薦 】