光原百合『最後の願い』

皆様、ごきげんよう
大垣書店営業本部の吉川でございます。

1年が経つのは早いですね…。何も成さぬまま、ゆるゆると年を重ねてしまいましたわ!!


まずい…。


来年はもっと晴れやかな気持ちで紹介文を書けるように精進いたします。

さて、前置きが長くなりましたが、私がおすすめするのは光原百合著『最後の願い』。
[rakuten:book:12359949:detail]

以下紹介文。


「0がφになる。(一本線を入れるだけ!?)そんな単純な様で奥深きお話。」
作りたい劇団がある!名前は「劇団φ」。
ある日度会恭平は思い立った。
彼は役者である。
役者といえば色男。色男といえば…。
お約束だが、人物金はなかりけり。
武器は無駄に冴え渡る頭脳と変幻自在の容姿だけ。
その才能だけを武器に、時にボーイに化けパーティーに潜入し、
またある時は古びた洋館で草をむしり、出会った謎を斬りまくる。
クスリと笑えるエピソードあり、やりきれない切ないお話ありの、
連作ミステリー短篇集。
全ての謎が収束するラストが爽やかな感動を呼び起こします。
ひとりの力には限界がある。
誰かと一緒に頑張るっていいな〜と思える作品です。


小劇団のお話です。
昔まわりに劇団員の方が何人かいらしたので、その演劇の世界について色々教えてもらっては
「永遠に終わらない学園祭のようなイメージ」を持って、勝手に憧れていたのでした。
もちろん、楽しいばかりでないのも話の端々から伺えましたよ。
いくつもバイトを掛け持ちしたり、公演が近づくと稽古に集中する為、仕事を辞めたり…。
それでも「演じる事」に自分の人生を賭している彼らの姿は、
キラキラというよりギラギラと力強く輝いていて、
ゆるゆると生きている私は、その熱で溶けてしまわないように遠くから見守る事しかできませんでした。
でも近くにいるだけで、その温かさに元気を貰えたのです!


彼らといつの間にか疎遠になって忘れていた、あの
「なんだかよくわからないけど、がむしゃらに頑張ってみたい!」
と近くにいる者に感じさせる不思議なパワーを、この『最後の願い』という作品も持っています。

なんだかやる気が出ないなぁという時にオススメです。


光原さんの作品では、『十八の夏』という短編集も好きなんです。
[rakuten:book:11270534:detail]
収められている作品すべてが、みずみずしくって時に甘酸っぱくミステリアスで!!
特に「ささやかな奇跡」という書店員さんのラブストーリーが好きなんですよ。


書店員を主人公にした作品(意外といっぱいあるんですよ…)を読むと、
「こんな夢みたいな本屋があるんだったら、働いてみたいもんよ!」
といつもへそを曲げてしまう私ですが、「ささやかな奇跡」は別格です!
読みながら人の幸せをこんなに願った事は無かったです…。
懸命に生きるいい人たちの、純情で心洗われる恋のお話なのです。
読んだ後ちょっと涙ぐみました。


私にもこんな素敵な奇跡が舞い降りますように!!ナムナム。
とお祈りしながら、この辺りで失礼いたします。


では6月1日の第2回水無月大賞の発表をお楽しみに♪